メインコンテンツへスキップ

時代別ガイド|日本貨幣の歴史

和同開珎から現代まで、1300年以上の日本貨幣史を時代別に解説

日本貨幣史 年表

708
和同開珎の鋳造開始
958
乾元大宝(皇朝十二銭最後)
1336
室町幕府成立、渡来銭流通拡大
1601
慶長金銀の鋳造開始
1636
寛永通宝の鋳造開始
1835
天保通宝の発行
1871
新貨条例(円・銭・厘制度)
1897
金本位制確立
1964
東京オリンピック記念貨幣
2021
新500円貨幣発行

古代

(708-1185)

律令国家の確立とともに、中国の銭貨制度を模倣して貨幣制度が始まった時代。朝廷による貨幣発行は、国家権力の象徴でもあった。しかし、度重なる改鋳により品質が低下し、平安時代末期には皇朝銭の流通は衰退した。

代表的な貨幣

和同開珎

日本最初の流通貨幣(708年)。奈良時代に鋳造開始。銅銭と銀銭がある。

皇朝十二銭

和同開珎から乾元大宝まで、朝廷が鋳造した12種の銅銭の総称。

富本銭

和同開珎より古い可能性がある銭貨。儀式用とも流通用とも言われる。

収集のポイント

  • 皇朝十二銭は後期になるほど品質が低下するため、初期の銭(和同開珎、万年通宝など)は希少価値が高い
  • 贋作が多いため、信頼できる鑑定機関による認定品を推奨
  • 出土品は状態が悪いものが多いが、歴史的価値から一定の需要がある
  • 銀和同開珎は特に希少で、真贋鑑定が重要

中世

(1185-1603)

鎌倉・室町時代は国内での貨幣鋳造が途絶え、中国からの渡来銭が主に流通した時代。日宋貿易、日明貿易により大量の中国銭が輸入された。一方で粗悪な私鋳銭も横行し、良銭と悪銭の区別が社会問題となった。戦国時代には金・銀の採掘が盛んになり、金銀貨の時代への移行が始まる。

代表的な貨幣

渡来銭

中国から輸入された銭貨。永楽通宝、洪武通宝、宣徳通宝などが流通。

私鋳銭(びた銭)

粗悪な私鋳の銅銭。「鐚銭」とも。正規の渡来銭より価値が低かった。

撰銭

良質な銭を選別する行為。室町幕府は撰銭令で規制を試みた。

収集のポイント

  • 渡来銭は日本で大量に流通したため比較的入手しやすい
  • 永楽通宝は特に人気が高く、状態の良いものは高値で取引される
  • 私鋳銭は歴史資料として価値があるが、コレクター間での人気は限定的
  • 日本伝世品と中国出土品では状態や価格が大きく異なる

江戸時代

(1603-1868)

徳川幕府による統一的な三貨制度(金・銀・銭)が確立された時代。金座・銀座での貨幣鋳造、両替商による金融システムが発達した。しかし財政難から度重なる改鋳が行われ、品位の低下を招いた。幕末には開国による金流出問題も発生。日本古銭収集の中心的な時代であり、バリエーションも豊富。

代表的な貨幣

大判・小判(金貨)

慶長小判から万延小判まで。幕府の正貨として流通。贈答用の大判も。

丁銀・豆板銀(銀貨)

秤量貨幣として商取引に使用。品位と重量で価値が決まった。

寛永通宝

1636年から幕末まで鋳造された銅銭。最も長期間発行された日本の銭貨。

天保通宝

天保6年(1835年)発行の楕円形銅銭。100文として流通。

藩札

各藩が発行した紙幣。領内でのみ通用。発行藩の財政状態により価値が変動。

収集のポイント

  • 小判は改鋳ごとに品位・サイズが異なり、希少性も大きく変わる
  • 慶長小判・元禄小判などは特に高価。贋作も多いため要注意
  • 寛永通宝は種類が膨大で、専門書による分類研究が進んでいる
  • 天保通宝は手変わり(刻印の違い)が収集対象として人気
  • 藩札は紙製で保存が難しいが、地方史研究の資料として価値がある

近代

(1868-1945)

明治維新により近代的な貨幣制度が導入された時代。大阪造幣局が設立され、西洋式の円形貨幣が発行された。金本位制の採用、日清・日露戦争、第一次世界大戦を経て、日本経済は大きく変動。戦時中は金属供出により貨幣の材質も変化した。

代表的な貨幣

新貨条例(1871年)

円・銭・厘の十進法制度を導入。1円=100銭=1000厘。

旧金貨・新金貨

明治時代の金本位制を支えた金貨。1円・2円・5円・10円・20円。

龍図銀貨

貿易用1円銀貨。明治政府が発行した初期の洋式銀貨。

旭日竜銀貨

国内流通用の銀貨。50銭・20銭・10銭など。

桐紋銀貨・青銅貨

大正・昭和初期の通常貨幣。

収集のポイント

  • 明治初期の金貨は現存数が少なく、高額取引される
  • 旧20円金貨は特に希少で、数千万円以上で取引されることも
  • 龍図1円銀貨は年号・製造所による希少性の違いが大きい
  • 戦時中の代用貨幣(陶貨など)はコレクターに人気
  • NGC/PCGSによる鑑定品は国際市場でも取引される

現代

(1945-)

戦後の復興期から高度経済成長、バブル崩壊、現在に至るまでの時代。1964年東京オリンピックを機に記念貨幣の発行が始まり、現在では年間を通じて様々な記念貨幣が発行されている。通常貨幣の素材・デザイン変更も収集対象となる。

代表的な貨幣

戦後通常貨幣

1円アルミ貨、5円黄銅貨、10円青銅貨、50円・100円・500円白銅貨など。

記念貨幣

1964年東京オリンピック記念から始まる。地方自治法施行60周年シリーズなど。

プルーフ貨幣

造幣局が発行するコレクター向け高品質貨幣。ミントセットも。

天皇陛下御即位記念金貨

令和の即位記念10万円金貨など。額面以上の価値で取引される。

収集のポイント

  • 記念貨幣は発行枚数が公開されているため、希少性の判断が容易
  • プルーフ貨幣は指紋や傷に弱いため、取り扱いに注意
  • エラーコイン(打刻ズレ、穴ズレなど)は希少価値が高い
  • 年号によって製造枚数が大きく異なり、昭和64年や平成31年は人気
  • 未開封のミントセットは長期保存に適している

参考: 日本銀行貨幣博物館 | 造幣局 | 日本貨幣商協同組合