
旧20円金貨(明治3年) — 近代日本の「金本位」を刻んだ最高額金貨
戊辰戦争の傷痕から生まれた新貨条例と大阪造幣局、幻の明治3年銘をめぐる物語
対象貨幣: 旧20円金貨
概要
旧20円金貨は、明治政府が明治4年(1871年)5月に制定した新貨条例に基づいて鋳造された近代日本の最高額面金貨である。金品位.900、重量33.33g、直径35.1mmという規格で、表面には精緻な龍紋、裏面には菊の紋章と「二十圓」の文字が刻まれた。
この金貨が誕生した背景には、戊辰戦争後の貨幣制度の混乱がある。幕末から明治初期にかけて諸藩が発行した藩札・不換紙幣・各種古銭が並立し、商取引の障害となっていた。新政府は近代的な統一貨幣制度の確立を急務とし、財務官僚・大隈重信が中心となって西洋の十進法を採用した新貨条例を立案した。
最高額面として設定された旧20円金貨は、日本が国際金本位制に参入する意志を内外に示す「国家の名刺」でもあった。中でも明治3年銘(1870年)は、大阪造幣局の公式開局前に試鋳・準備段階で製造されたとみられる極めて希少な存在であり、現代の収集市場では国宝級の扱いを受ける。



